2012/02/29

加藤県議、朗々と歌う…政治家としての〃大義〃を!!

所用のついでに…と言っては失礼だが、昨27日午後、県議会一般質問を傍聴させていただいた。幾度か事務局には取材のため伺ったことはあるが、傍聴体験は初めてだ。

開会前、無人の受付コーナーをすり抜けて端っこの方に鎮座していたら、事務局員が追い掛けて来て「所属と名前等を書け」という。書き終えたら「写真は撮るか?」と訊かれたので、「一応…」と答えたら、「なら腕章を」と差し出された。

かくしてドキドキのうちに〃初体験〃は始まったわけだが、もっとビックリしたのは、登壇者の加藤寛治議員(島原市選出)が突然、歌い出したこと。

曲名は与謝野鉄幹作『人を恋うる歌』―。〈妻をめとらば 才たけて みめ美わしく 情けあり 友を選ばば書を読みて 六分(りくぶ)の侠気 四分の熱…♪〉

周囲が唖然として見守る中、ひとしきり朗々とした歌声が議場に響き渡った。言うなら、これが〃前座〃であった。

「一体、加藤先生は何を言いたいのだろう?」。筆者に限らず、知事も県の幹部職員も、また議員仲間までも、恐らくそう感じていたに違いない。

皆の注目が一点に集まる中、本人は平然と落ち着き払った口調で「人(政治家)としての大義」を懇々と説いた。事ここに至ってはじめて、歌唱の意図が判明した次第。

中身については、28日付けの長崎新聞『傍聴席』欄に手際よくまとめてあるので、ご参照のほどを!

この日、加藤議員が通告した質問の柱は①県政一般②第一次産業の振興策③道州制―の三項目。それぞれに〃情理〃を極めた内容で聞き応えがあったし、県側の答弁も真摯で、それなりに洗練されていた、と思う。

印象に残るやり取りも多かったが、筆者が個人的に面白いと思ったのは、新たな農業形態としていま注目を集めている「6次産業」についての解釈。

加藤議員曰く―「1+2+3=6ではない。1×2×3=6で考えるなら、1次産業が0になるようなら、数式から言っても全てがパーではないか?」。

返す刀で、地球の砂漠化が年間で日本の全耕作面積(465万ヘクタール)を上回る500万ヘクタールものペースで進んでいる実態を取り上げ、次のように語った―。

「せめて食糧自給率は、8割(腹8分目)は確保しなければ、大変な事になる!」と、TPP問題も絡めて農業施策のさらなる拡充を迫った。

紙幅とメモ能力の都合でこれ以上の紹介は難しいが、この日の午前中に登壇した、同じく島原市選出の楠大典議員の一般質問も合わせてインターネットの録画中継で傍聴できるので、是非そちらのご視聴も!

と言うことで、「もっと知りたい県議会」のアドレスを記して本稿を閉じる。

http://www.pref.nagasaki.jp/gikai/


2012/02/26

ウルトラプラン登場!!…地域の情報環境を守るため

<インターネット界の〃新幹線〃>なるキャッチコピーを冠して23日からサービスを始めた弊社の<ウルトラ・120メガプラン>が順調な滑り出しを見せている。チラシの配布効果などもあって、問い合わせもひっきりなしだ。

よく言われるように、インターネット(=NET)に代表されるIT分野では次々と新規のサービスメニューが打ち出され、それこそ落ち着く暇もない。通常の1年が7年に相当すると言われる〃ドッグイヤー〃の世界なのである。

確かに〃時間軸〃の問題に限って言えば、交通機関もNETも〃速い〃に越したことはない。それは、1年前に開通した九州新幹線・鹿児島ルートが空前の人気を集めていることからも明らかだ。

ただし、だ。それだけで全てが事足りるのか?と訊かれたら、自信を持って「YES!」の返事が出せるものでもあるまい。

昨報まで計6回にわたって連載してきた「九州横軸連携」のフォーラムの中でも語られていたように、それぞれが新たなスピードの時代をどう活かすか、がより大事なのである。

言うなら、NET接続のスピードアップは新幹線の開通と同じく、インフラ整備の一環であって、そこから先の〃生殺与奪権〃はそこで暮らす人々の判断に委ねられたものだ。

思慮の浅さを省みずに言うなら、そこを基点に生活やビジネス面での「横軸展開」をどうしていくのか?それはひとり行政だけの問題ではないはず。民間、さらに言うなら個々人の状況認識による。

弊社のNETサービスの話題に戻るなら、「ビギナーズ」「エコノミー」「スタンダード」「プレミアム」といった既存4コースそれぞれについても〃料金据え置き〃で大幅にスピードアップを実現。

自慢するわけではないが、「半島」と言う地理的ハンディを克服して、都会地に負けない接続環境を生み出したのである。

最大の立役者は「電気主任技術者」という超難関の資格を持っている弊社ご自慢の有能スタッフ。しかも、2名もいる。例えるなら〃ホームドクター〃のような存在だ。

ただ、ここに至るまでには、多くの時間と労力、そして投資が伴ったことは言うまでもない。幾度か「このままやり過ごそうか…」などと悩んだこともある。

一方で、「至誠、天に通ず」(孟子)と言うか、全面支援で乗り出してくれる取引先も現れた。全てはマッチング(出会い)の妙味だ。

<ウルトラマンシリーズ>の脚本家として知られる本県出身の市川森一さんは、残念ながら昨年他界されてしまったが、弊社の<ウルトラプラン>はまだ誕生したばかり。

「シュワッチ!」。地域の情報環境を守るために、さあこれから一働きだ!!


2012/02/25

実は延岡へ行って来た…日本一の集まりは日本一だ

最後のテーマは「4市の横軸連携」について―。横田市長は今月29日に就航する「上海航路」を引き合いに、片道は船、片道は飛行機といったプランが主流となるだろうと予測。

その上で、いかにこの「横軸」の連携を深め、集客を図っていくかを、具体的に考えて、具体的に行動していく必要がある、と。

昔から縁のある別府は言うに及ばず、延岡(日向)とも島原半島は繋がりが深い。坂本龍馬は横井小楠の薫陶を経て勝海舟とともに長崎遊学の第一歩を島原の地にしるした。

そうした諸々の意味合いも含めて、日本版ロマンティック街道を構築していく〃下地〃は十分にある、と胸を張った。

浜田市長は、別府の頭文字「B」をもじって、4市連合による「B級グルメ」の企画案を提唱

別府にはすでに全国に知れ渡った「地獄蒸し料理」がある。島原は「具雑煮」で有名だし、延岡の「チキン南蛮」も人気だ、そしてご当地・熊本の代表と言えば「ラーメン」に「馬刺し」。これだけ揃えば、どこにも負けないだろう。

首藤市長。チキン南蛮は延岡発祥の「B級グルメ」。来月3日にはイベントも計画している。

ただ、頭の痛い問題は交通インフラの整備が遅れていること。いまだに東九州自動車道は開通していないし、日豊本線もまだ単線のままだ。

中国ではここ数年のうちに6000キロもの鉄道網が新たに整備されるという話だし、お隣・韓国の高速自動車道の総延長距離は日本の約1.5倍にも及ぶそうだ。それこそ、具体的に何とかしないと!

幸山市長。4市それぞれに色んな課題を抱えているのは避けようもない〃現実〃だが、とにかく今日が「横軸連携」のキックオフ。皆さん心を一つにして頑張りましょう!

以上がフォーラムで交わされた発言の要旨だが、これに触発されたわけではないが、実は、先週の土日にかけて、延岡市を訪ねてきた。

主たる目的は現地の新聞社(夕刊デイリー)が新たにコミュニティFMを立ち上げるということで、関係者の誘いもあって行って来たのだ。

高速道路が通っていないので、さすがに遠かったが、途中「日向往還」の立て看板も見ることが出来たし、今後のCFM事業での協力関係も結べた。もちろん「チキン南蛮」もいただいてきた。

道すがら、筆者なりに色んな事を考えた。フォーラムでのやり取りをよくよく振り返ってみれば、それぞれの市がご自慢の「日本一」(点)を持っている。

日本一が集まれば(線)、日本一の連携軸が出来ること(面)は請け合いだ。熊本日日新聞を中心にそれぞれの市には新聞社もFM局もある。活かさない手はない! -おわり-


2012/02/24

4市長それぞれに熱弁…具体的行動で壁を崩そう!

続いて行われたパネルディスカッションでは、島原、熊本、別府、延岡の4市長がそれぞれの市が抱える問題点や観光施策等について熱弁をふるった。コーディネーターは清水教授。

トップバッターは横田修一郎島原市長。修学旅行の入り込み数がなかなか災害前の実績に戻らない現況を伝える一方で、今年5月に開催する「世界ジオパーク」への期待を語った。

次いで、別府市の浜田博市長。日本一の湧水量や豊富な泉質を誇る別府温泉をひとしきりPR。「別府八湯・88ヶ所」を全て回った〃温泉道名人〃は2500人に達し、年間では1100万人の観光客が訪れている、と。

続いて延岡市の首藤正治市長。旭化成のイメージがばかりが先行しているようだが、「快水浴場100選」にも選ばれた綺麗な海や西郷隆盛さんが軍議を開いた旧跡もある。また、秋口に開く薪能は日本一。最近は大分県と連携して「メディカルバレー構想」を進めている。

トリを務めたのは開催地の幸山政史市長で、今年4月に念願の「政令指定都市」となる意味合いを強調。その上で、5年前に築城400年を迎えた熊本城だけに頼らない新たな街づくりの必要性を訴えた。

次なるコーナーは「課題」「現状」「展望」について。横田市長は日本一!の炭酸泉の話を皮切りに、観光と教育を結び付けるジオパーク構想について言及。

その最大の特徴を、まさに今その眼で見ることが出来る「地殻変動」(造山活動)の成り立ちに焦点を当てるとともに、5年に1度の全国和牛共進会の誘致や2年後に開催が迫った長崎国体を機にスポーツコンベンションの街づくりにも取り組んで行きたい、と抱負を述べた。

浜田市長は、別府温泉開発の先駆者として知られる油屋熊八翁の言葉「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」を引く一方で、今後は日本を代表する国際観光都市に向けて大きく舵を切っていくことを宣言した。

首藤市長は、東国原前知事が〃カンフル剤〃として果たした一定の役割は認めつつも、行政の仕組みを構築することのさらなる重要性を強調。1300年前の『古事記』の時代まで遡る「日向往還」(熊本・新町~延岡)の復活に期待を寄せた。

幸山市長は、新幹線駅を拠点として新町、古町を面としてアピールしていきたい。また、合併によって新たな観光資源(田原坂など)も生まれてきているので、そちらにも力を入れていく。

これからは県境や市の単位を超えて「オール九州」の感覚で取り組んでいくことがより求められる。上海に行って実感したが、中国から見た日本の観光地はいまだに東京や京都、北海道(自然)が主流。具体的な行動で、何とかこの壁を突き崩さないと!

-つづく-


2012/02/23

マイカー利用が減る!?…「横軸強化」は防災面でも

最近の日本版ロマンティック街道としては、秋田・能代と青森・南津軽を結ぶ「五能線」が人気だそうだが、日本における最大の成功事例は何と言っても「四国八十八ヶ所巡り」だ、と。

この歴史ある我が国最大級の〃巡礼の旅〃は外国人の間でもジワジワと関心が高まっているそうで、清水氏は先日、オランダ人一行の面倒を見た、という。

確かに言われてみて改めてそう思うが、「四国―」はそれぞれの「点」を磨いて「線」とし、見事なまでの「面展開」にまで漕ぎ着けている。仕上げの高野山参拝も含めて、物語性も十分だ。

氏は自治体ごとに観光パンフレットを製作している〃愚〃を重ねるな、とも警鐘を鳴らす。そういう企画こそ「面展開」でいくべきだ、と。

一方で、とても印象に残る旅行業界の最新トレンドについてのお話も伺った。ある意味、ショックも受けた。

身近な事例で恐縮だが、島原鉄道が南線を廃止した最大の理由はマイカーの普及によって利用者の減少に歯止めがかからない、というものだった。

ところが、清水氏によれば、最近はマイカーやバス以外の交通手段による移動が若い女性層を中心に増えてきているのだそうだ。

データによれば、全体ではまだマイカーが50%を占め、次いでバス(15%)、列車(12%)となっている。ただし、未婚女性の友人旅行で見ると、列車が26%とマイカー(27%)に肉薄している。

これは何を意味するのか?少し前に、若者の間でクルマ離れの傾向が続いているというニュースがあったが、それとも関連しているのか…。

清水説によれば、こうした「マイカー→公共交通機関」への乗り換え傾向は、地球環境の問題とも相まってさらに進んでいく、という。

講演の最後に氏が取り上げたのは、やはり「東日本大震災」絡みの話。事ここに至って、筆者が数日前にコミュニティFM業界の会議で聞いた話と寸分違わず〃合致〃していたので思わず身震いしてしまった。

まさに同フォーラムのメーンテーマである「横軸連携」の必要性がガソリンの調達問題と合わせて、奇しくも全く同じ表現で語られたからだ。

実例として取り上げられたのが、福島県いわき市四倉町に店を構える「道の駅よつくら港」。講師は「会津の絆」という表現で、その存在価値を語った。

ここの店では普段から、近隣の市町村などで暮らす人々と心温まる交流を続けてきており、地震災害という〃異常時〃の中でそのネットワークが大いに役立ったのだそうだ。

最後に清水教授は力を込めてこう締め括った。「普段から横軸の連携を強化しておけば、イザという時、必ず大きな力になる!」。

-つづく-


2012/02/22

まずは「点」を磨け!…形式的な企画&対応ではダメ

「A列車―」の企画は九州内に留まらず、首都圏でも大きな話題となっており、近く増両・増発される見通しだという。

この話を紹介するに当たって清水氏は、新幹線という「縦軸」の集客効果に絡めて「横軸」の展開を試みた関係者の〃英断〃ぶりを高く評価して、次のように語った。

「何より企画そのものが『具体的』である。連携、商品、キャンペーン、誘導、仕掛け、イベント…全ての頭に『具体的』が付いている」

続いて、九州観光全体について―。かつて、別府~阿蘇~熊本~島原~長崎をつなぐ横断ルートやフェニックスの宮崎は、新婚旅行客のメッカであった。

日本全体で言うと、100万組ほどあったハネムーン客の実に7~8割が九州を訪れていたと言うから、まさに〃今昔の感〃しきりである。

ただし、一旦は市場から見放された感すらする九州エリアだが、一部に見直しの動きが出始めている、とも。続々と定年を迎えている団塊の世代層の動向がそれだ。

神戸商工会議所の調べでは、かつて新婚旅行時に乗った「関西汽船」による瀬戸内海クルーズの復活を望む声が徐々に高まってきている、という。

話は脱線するが、後のパネルディスカッションでも別府市長の浜田博氏がこの動きについて言及。「リバイバル修旅&ハネムーンで昨年、別府国際観光港を利用した客は600組もあった」と期待をにじませた。

閑話休題。清水氏によると、横軸観光の典型的な成功事例はヨーロッパの「ロマンティック街道」だという。ルートはドイツのヴュルツブルク~フッセンまでの366キロ。

中でも、日本人観光客の一番人気はローテンブルク。年間何十万人もの日本人が訪れるこの街では、銘板への記名と引換えに、城壁の復元基金に寄付をする人も多い、という。

元JTBの商品プランナーとしての経験を持つ清水氏は、日本版のロマンティック街道が出来ないものか、と今でも考え続けており、その候補の1つが「九州横軸」ライン。

実現のためのポイントとして氏が取り上げたのが「点」から「線」そして「面」への複合展開。まずはその土地が持っている「固有の魅力」(点)をしっかりと磨く。

その上で「点」と「点」とをつないで「線」とし、さらに広げていって「面」まで昇華していく。取り組むに当たって大切なのは「形式化しない」こと。

熊本観光を例にとれば、熊本城だけではダメ。「昼&夜メニュー」の二本立てで、宿泊させるようにすること。

現在、熊本市内には「まち咲案内人」といガイド制度があるそうで、辛子レンコンや肥後象嵌(ぞうがん)作りなど、住民と一緒になって楽しむ企画が人気だそうだ。

-つづく-


2012/02/21

問われる〃誘導力〃…具体的に物語性をもって

会場の「くまもと森都心プラザ」はJR熊本駅のすぐ真向かい。筆者が到着した頃にはすでに満杯状態で、「九州横軸」の連携強化にかける関係者の並々ならぬ熱気で溢れていた。

シンポジウム全体の概略については、すでに16日付けの本紙1面で紹介されているので重複は避けるが、何より基調講演に立った清水愼一氏(立教大学観光学部特命教授・JR東日本出身)の話がすこぶる面白かった。

同氏が九州新幹線波及効果の〃成功事例〃としてまず取り上げたのは、在来のJR三角線を走る『A列車(特急)で行こう』という船便との連携企画。

宇土~三角間を結ぶ同線もご多分に漏れず〃赤字続き〃のローカル路線だったが、イルカウォッチングなどが楽しめる「天草宝島ライン」との組み合わせで予想を大幅に上回る人出を集めているそうだ。

人気の秘訣は幾つかあろうが、何と言っても、ジャズのスタンダードナンバーに引っかけたネーミングの妙がある。もちろんこれは筆者の個人的な思いだが、「A」とは取りも直さず「天草」の頭文字だ。

この基調講演の後に、熊本市の幸山政史(せいし)市長が「阿蘇の『ア』、熊本の『ク』、天草の『ア』を取って『熊本アクアライン』でさらに知名度アップを!」と、すかさず柔軟に応じていたのには感心した。(※アクアとは英語で水の意味)

次いで紹介された2番目の〃成功事例〃は鹿児島県の指宿線。この路線は新幹線終・発着駅の「鹿児島中央」と砂蒸し風呂で有名な「指宿温泉」をつなぐこれまた典型的なローカルラインだが、何と開業効果は31.5%増にも及んでいるという。(※正式には指宿枕崎線)

こちらの人気商品は「指宿のたまて箱」と呼ばれる全席指定の特急列車(新生・博多駅で一躍有名になった水戸岡鋭治氏がデザイン)で、日中3往復しているそうだ。

講師がこの日発したキーワードは幾つかある。中でも筆者の耳にこびりついて離れないのは、我々がふだん何気なく使っている「具体的」とか、「物語」とかいった表現だ。

先の2事例に基づいて話を敷衍(ふえん)するならば、いずれの場合も、次なる観光地へグイグイと誘導していく「ストリー性」(=物語)で溢れている。

そして、発想そのものが極めて「具体的」かつ「スピーディ」だ。より直截に言うなら、新幹線がかつて経験したこともない大量の客を〃そこ〃まで運んできてくれている。

これをみすみす見逃しているようでは、何の商売をしてもうまくいくはずがない。事を島原の話に戻すなら、関西や博多方面から新幹線に乗って熊本駅に着いた観光客にどう有明海を渡らせるか(誘導)。

言い換えるなら、「旅のロマン」をいかに演出してみせるか。材料には事欠かないと思うのだが…。
      
-つづく-


2012/02/19

「横軸」の連携強化を…東日本大震災でも判った

〈世はすべて『縦』と『横』で成り立っている。目や口は横、鼻は縦でしょ。それが逆になったら大変!女性はまともに歩けなくなってしまう〉

こんな〃艶話〃で聴衆をドッと沸かせてくれるのが合気道の名人にして、中村天風門下の一番弟子、佐々木の将人(まさんど)先生だ。

一度でもこの先生の講演を聴いたことのある人なら〃抱腹絶倒〃してしまうこと請け合いだが、「言われてみたら、確かにそうだ!」と今更ながらに思う。まさに〃言葉の力〃である。

先ごろ、コミュニティFMラジオの研修会で、東北地方からお招きしたお二方の講演を聴く機会を得た。いずれも、それぞれの地方で一家を構えるCFM局の社長さんだ。

幸い、地理的な環境で大震災(3・11)による直接被害を受けてはいないそうだが、発生から1年が経とうとする今でも〃我が事そっちのけ〃で、被災局の支援活動に走り回っている、という。

お二人共通してしみじみと語っていたのは「横軸連携」の大切さ。ご存じの通り、先般の大震災では太平洋に面した岩手、宮城、福島3県の沿岸域を中心に、「縦軸」ラインで被害が拡大していった。

そうした中、お二方がとった行動は―。ひとまず、各地の避難所に被災状況や安否などの行政情報を知らせるための電池式の携帯ラジオ(全国のCFM局に支援を呼び掛けて集まった)を届けること。

そのためには昼夜を問わず〃山越え〃で車を走らせなければならない。言うならこれが「横軸」で、ガソリンの調達と併せて大いに苦心惨澹した、という。

翻って、我が九州。その大震災と期を同じくして開業した九州新幹線(鹿児島ルート)の「縦軸」は今や〃大〃の付く人気を集めている。

もちろん一番の〃開業効果〃を実感しているのは福岡、鹿児島の両都市であることは明らかだが、今年4月に念願の〃政令指定都市〃となる熊本市が黙っているはずがない。

縦軸の〈新幹線〉に対する、横軸の〈島原~熊本~別府~延岡ライン〉を強化する壮大な「観光振興プロジェクト」がいよいよ産声を上げた。

流行りのサッカー用語で言えば「キックオフ」ということになろうが、その記念すべき1回目のシンポジウムが今月6日、JR熊本駅前の「くまもと森都心プラザ」で開かれた。

当初、筆者は参加するつもりはなかったのだが、冒頭の会議でご一緒した熊本シティエフエムの社長さんから「是非出てこい!」との強い要請を受けた。

結論から言うと、とても有意義であった。島原市の横田修一郎市長をはじめ他3市長の〃戦略話〃をじっくりと聴かせていただいて、「横軸の連携強化こそ島原の生き残る道だ!」と実感した次第。

-つづく-