2008/06/29

人間はバランス次第…賄賂と売春はいつの世も…!?

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

島原文化連盟元委員長の平尾勇さんに訊いた。「先生、優れた俳句作品とは、やはり視覚的なイメージを伴うものを言うのでしょうね…」。ド素人の不躾な質問にも拘わらず、「まあ、そんなものですかなぁー」と、苦笑いを浮かべながら答えて下さった。

同先生は、句作で頭を捻られているせいか、実年齢より遥かに若く見える。巷では、「頭」と言うか、「脳」に関する本が良く売れているそうだ。小生などは典型的な「右脳人間」だろう。逆に言うと、物事を論理的に考えること自体、全くもって不得手なのである。

おかげで、得もするし、損をすることもある。割合でいくと丁度〃半々〃くらいか。そんな割り切り方ばかりするから「お前は論理的でない」という謗りを受ける。しかし、こればかりは持って生まれた〃性格〃なので仕方がない。

どんぶり勘定の是非について、ここで云々するつもりはないが、全てをコンピュータの世界のように「0か1か」で割り切ることは、ある意味ナンセンスである。確かに、科学の世界では、そうした〃緻密〃と言うか〃周密〃な考え方こそが発達の礎となるのであろうが、それだけでは何となく味気ないではないか。

ところが、科学者にかかわらず、「エリート」と呼ばれる中央官庁に属する面々も、時おり似たような思いを感じているに違いない。他でもない〃居酒屋タクシー〃の一件である。

ガキの頃から「やれ天才」「やれ秀才」とおだてられ、長じては「お国のため」に深更まで仕事に励む。

やっと解き放たれた深夜の時間帯に、自分が守っているはずの〃国民〃の側からのささやかな貢ぎ物。一度のつもりが、二度、三度…。後は定番の〃なし崩し〃コース。中には〃金権〃の類いも含まれていたというから、ビックリだ。

この方々の辞書には「塵も積もれば山となる」という諺は入っていなかったのか。それとも「赤信号、みんなで渡れば恐くない」というビートたけしの諧謔性に富んだギャクの意味を取り違えたか。

だが、ちょっと待て。先年亡くなった皮肉の大家、山本夏彦翁のコラムに「賄賂と売春はいつの世もなくならない」というくだりがあったぞ。人はみな、どこかでバランスを取りながら生きている動物だ。夏彦説によるならば、今回やり玉にあがった千四百人余の官僚群は、決して歴史上の例外なんかでない。

どうかこの上は〃エリート意識〃なるものを過度に振りかざすことなく、普通のお役人として、「国家安寧」「国民の幸せ」のみを願って、本来の仕事にお励みいただきたい。

と、こんな事を書きながらでも、「嗚呼、何て俺は運の悪い人間なんだ…」と、舌打ちしている彼らの姿が目に浮かぶ。同じビジュアル素材でも、どちらかと言うと、こちらは川柳向きですよね、平尾先生?


2008/06/25

苦労厭わぬ明るい性格…草野さんの『明日に架ける橋』

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

やっと晴れ間がのぞいたと思ったら、一夜明けたらまた雨。季節柄、仕方がないとはいえ、やはり鬱陶しい。周囲を見回しても、どことなく打ち沈んだ連中が多いように思われる。

そんな中、昨夜の『ターニングポイント』に登場してくれた、伊勢屋旅館女将、草野有美子さん(52)の元気ぶりは圧巻だった。

番組でも話したように、小生とは同い年である。とは言っても、面識ができたのは、先方が昭和54年に結婚なさってからだ。

松浦の造り酒屋の次女として生まれ、何不自由なく育った幼女時代。ところが、小学校2年生の時に突然の不幸が襲う。家業の倒産である。

一家は平戸に移り住み、今度は酒類の小売業で生計を立て直していたが、高2の折、再びの経営破たん。当時はまだ「平戸大橋」が架かっておらず、夜逃げ同然の格好で島外脱出。

「大好きだった数学と理科の教科書以外はすべて船着場に捨ててきたわ。とにかく、ヤクザに捕まらぬよう、それだけを考えて動いていたのよ」 - 。

まだ16歳の少女が、である。本人はまるで昨日のことのように、淡々と振り返ってみせるが、当時の胸中やいかに…。

そして始まった、母の里、島原での生活。親戚が経営するホテル内の小部屋で、姉と肩を寄せ合うように暮らした。少しでも足しになれば、と観光客相手に「子守唄」を踊る。

投げ銭(おひねり)を拾い集める際に噛みしめた屈辱の味。が、背に腹は代えられぬ。ここから24歳で結婚するまで、親に金銭的援助を受けることは一切なかった、という。

自ら稼いだお金で島高、活水短大を卒業。ミス島原にも選ばれた。結婚は自らの意志で、周囲の大反対を押し切った。「私から持ちかけた大恋愛でした」とノロケ目線で笑わせる。

ところが、新婚生活は〃バラ色〃どころか〃悪戦苦闘〃の毎日。そうこうするうちに、岳父が突然の町長選出馬表明。呆れてモノも言えなかったが、「しょうがない」と町内全世帯の3分の2を歩いて回った。

結果は32票差の薄氷の勝利。以後、3期連続して町長職にあったが、旅行形態の変化や景気停滞の悪影響も重なって、旅館経営はじわじわと〃苦境〃に追い込まれていった。

それでも「しょうがない!!」と意に介さないところが、この方の真骨頂。〃異業種〃の人々との交流を重ね、温泉観光地における新たなサービス業のあり方に知恵を絞った。結果は、日本商工会連合会の弁論大会で晴れの〃日本一〃。

最近は、米大統領選の「オバマ候補」に勝手に肩入れするなど、明るい話題づくりでも活躍。地元に昔から伝わる保存食材にヒントを得た「エタリソース」の普及にも余念がない。

好きな歌第一番は『明日に架ける橋』。その橋桁は、ほぼ完成しつつあるようだ。


2008/06/24

長浜海岸にカワハギ…紛失物が出てきた時の歓び!!

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

「浦島太郎」の話は良く覚えていないが、今朝久方ぶりの梅雨の晴れ間を縫うように〃海コース〃を散歩している途中で、カワハギと出会った。

場所は長浜海岸。白波に放り出されるようにして、コンクリート護岸に打ち上げられていたのだ。観ると、エラの辺りでヒクヒクと呼吸をしている。まだ生きているのだ。

このコースでは釣り人を頻繁に見かける。毎回、時間を惜しむようにソソクサと歩いているので、釣り上げる瞬間に出くわすことはまずないが、干からびた小さなフグの遺骸はたまに見かける。

カワハギは体長20センチくらいで、刺身でも煮付けでも美味そうに見えたが、可哀そうだったので海に返してあげた。何とか生き延びてくれよ!!

「福岡県宗像市の海岸では、冬場に大ぶりのカワハギが打ち上げられる」と、かつてある人から聞いたことがあるが、その人物に関して、良い思い出は一つもない。

いわゆる「ペテン師」の類いなのである。逆に言えば、信じた私がバカでした。でも、それもこれも、もう水に流そう。今となっては〃良い勉強〃をさせてもらったんだ、と。

性格の問題だろうが、世の中には財布を「失くす人」と、「失くさない人」の2通りがあるように思う。小生などは典型的な前者タイプで、本当に良く物を忘れるし、良く失くす。

一方でまた、良く「拾う人間」でもある。学生時代に道端に置いてあった古本(洋書)の中から2万円が出てきた時には、それこそ飛び上がって喜んだ。

今でも良く覚えているが、確かその本は分厚い装丁の学術書であった。同時に、ボッチチェリの画集も拾った。これらの2冊は長いこと本棚に飾っていたのだが、引っ越しを重ねているうちに、いつしか見かけなくなった。

さて、その拾った2万円の使い道だが、まず友人と飯を腹一杯食べた。残りは良く覚えていないが、確かパチンコ代か何かに化けたのではなかったか。

これに対して「失くした話」は枚挙にいとまがない。これを喋り出すと、段々と自分が惨めになってくるので、今日はしない。

大体において、人間は「勝った時の話」しかしない。殊に、ギャンブラーはそうだ。「パチンコ1時間でウン万円も勝った」。鼻孔を膨らませながらの「自慢話」は良く聞くが、「負けた話」はしたがらない。

まあ、人間にはそれぞれ「プライド」というものが備わっているので仕方のない話ではあるが、「完全勝利」が続くようなことなど絶対にない。このことだけは、ゆめゆめお忘れにならぬように!!

最後に「失くす派」の人間として一言。失くしたと思っていた物が出てきた時の歓び。これだけは経験した者でなければ解らないでしょうね。


2008/06/22

ストレスは人生の雨…信頼できる〃人〃いますか?

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務清水眞守‐

梅雨真っ盛りである。今朝も防災無線で「大雨洪水警報が発表された」と報じていた。国交省雲仙復興事務所提供の「お天気チャンネル」を見ても、まだ当分は止みそうにない。

ふと、机の脇に以前から置いていた、ある企業のPR誌の見出しが目に留まった。そこにはこう記されていた。「ストレスは人生の雨・元気になる〃傘〃を持とう」と。

ある企業とは、長距離電話のNTTコミュニケーションズ。筆者は、耳慣れない言葉だが、「健康社会学者」の河合薫さんという妙齢の女性だ。

河合さんはANA国際線勤務の後、平成6年に第1回気象予報士試験に合格した〃変り種〃。早速、その資格を活かしてテレ朝系の「ニュースステーション」のお天気キャスターとして活躍していた。

16年には、東大大学院医学部系研究修士課程に進み「健康社会学」を修了。昨年、同博士課程を経て、現在は「保健学」のドクターでもある。

すでにキャスター時代から、天気が人間の体や心に及ぼす影響についての「企画コーナー」を設けるなど、今日の〃下地〃はあった、という。その成果は14年に『体調予報』という一冊の本にまとめられた。

研究の基礎になっているのは、イスラエルの社会学者アーロン・アントノフスキーが唱えた「健康生成論」。以前から医学の分野にあった「疾病生成論」とは少し異なる切り口で成り立っている。

専門的なことはさて置くとして、その理論の根っこの部分は「人間には本来ストレスを退治するパワーが備わっている」という考え方で構成されている。一言でいうと「ストレス対処能力」というものだ。

河合さんは、人生に付きものの「ストレス」という感覚を「雨」という言葉で表し、それからの被害を防ぐには、程度に応じて大小の「傘」や「レインコート」などを準備しておく必要がある、と説く。

現代日本は、年間3万以上もの人が自ら命を絶つ過度の「ストレス」社会である。河合理論によれば、それを思い止まらせるには、周囲に「信頼できる」、或いは「悩みを相談できる」人間がいるかどうか、にかかっている。

ここまで読み進めていくうちに、何日か前の長崎新聞に取り上げられていた、長崎市出身の映画監督、橋口亮輔氏の記事が思い出された。

同氏は6年前に『ハッシュー』という映画を撮り終えた後、うつ病にかかって「毎日死ぬことばかり考えていた」そうだが、あるきっかけから「生き延びる道」を選ぶ。

作品のタイトルは『ぐるりのこと。』主演の法廷画家役にリリー・フランキー。出版社勤務の妻役は木村多江。『ぐるり』とは、ひょっとして方言でいう「周囲」のことだろうか。県内では、21日からユナイティッド・シネマで公開中。


2008/06/20

気分はハムレット…喫煙続けるか、それとも…

-(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守-

一昨日「福岡」、昨日「東京」、そして今日は朝一番の飛行機で「島原」までトンボ帰り。体力的な疲労はまったくと言ってよいほどない。今朝も歩きこそしなかったが、5時前にはしっかり起きた。

そう言えば、一昨日は散歩の途中で雨に遭った。姫松屋の辺りでにわかに雨脚が強まってきたので、堀端の桜の下でしばしの〃雨やどり〃である。

一瞬、軒下を借りようかとも思ったが休憩の合間に煙草を吸うので、殊勝にもご遠慮申し上げた。

さて「煙草」と言うと、最近では「タスポ」(身分証明カード)の話題で持ちきりである。とにかく、これがないことには自販機が相手にしてくれないので、まったくもって始末が悪い。

このタスポの導入で、〃対面販売〃のコンビニ等のお店では売上げが増えているというから、皮肉なものである。言われてみれば、確かにそうだ。いちいち自販機前でカードを取り出すのも面倒であるから、まとめ買いするのも当然と言えば当然である。

大概の流行モノは東京から田舎へとやってくる。それが普通の流れだが、タスポの導入はまったく逆だった。まず、鹿児島、宮崎が3月からスタートして、我が長崎県はそれから2カ月遅れ。東京エリアはやっと来月から始まる。

どうして東京が遅いのか不思議だが、そうしたシナリオだろうから、別段悩む必要もあるまい。そんなことより悩ましいのは、新規の「価格設定」に関する話題である。

愛煙家を自認する自民党幹部の一人が「一箱千円説」を打ち出した、と聞いてビックリである。すでにイギリスなどではそれに近い値段だというから、あながち根拠のない話ではなさそうである。いやー、そうなったらどうしよう???

「ツー・ビー・オア・ノット・ツー・ビー」 - 。「吸うべきか、吸わざるべきか、それが問題なのである」。そう、ハムレットのような心境だ。確か、この名文句を最初に日本語に翻訳したのは坪内逍遥翁で、「在るか、在らぬか…」ではなかったか。

いやいや「一箱千円」など、決して「在ってはならない!!」価格である。本当に頼みますよ、先生方。政治的な駆け引きを考える余り、地道な愛煙家を無慈悲に〃ケム〃に巻いてもらっては困りますよ。

ところが一方で、最近では「禁煙療法」が「保険」の対象になったとも。先日久しぶりに会った県職の友人が、何やら風邪薬のようなタブレット(錠剤)を自慢げに見せてくれたことで知った。

氏によると、この薬を飲みながら最初の2週間は喫煙していいのだそうだ。値段は1クールで〆て「1万8千円」。高いと見るか、安いと見るか、微妙に見解が分かれるところ。

さあ、どうなさいます、愛煙家の皆さん。


2008/06/18

平尾先生に改めて敬服…所詮〃雑文書き〃じゃんば

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

「火曜日は何かちょっと嬉しい…」という宣伝文句に誘われて有家のジャスコまでやって来たが、格段に嬉しいこともなく、ミスタードーナツでパソコンに向かっている。

本欄も今日で、晴れてめでたく(?)365回目である。確か、2年前の7月1日付から書き始めたので、ほぼ2日に1回のペースで書き進めている計算が成り立つ。

もとより〃雑文書き〃を自認している。一部から「文章にまとまりがない」とか「下手糞だ」とか言われているようだが、要らぬお世話である。「文は人なり」と言われるように、森本元成さんや宮崎和子さんの域に達するまでにはまだまだ多くの〃人生経験〃を要するのだ。

まあ、これなど一種の〃開き直り〃だが、そうでもしないことには、やってられない。ただ同時に、自分なりに反省もしている。本当に。

その点、昨夜放送の「ターニングポイント」(第7回)に出演して下さった島原文化連盟元委員長の平尾勇さんには、自ずと頭が下がる思いだ。「知の巨人」にして謙虚なのである。

普段から親しくしていただいているが、長崎大学の「学歌」を作詞されたという実績はつゆ知らず、島原高校勤務の傍らに最難関の「公認会計士」の国家試験に合格された経緯も改めて知った次第。

加えて〃愛妻家〃である。亡きみさお夫人の思い出を語られる際に、声を詰まらされるご様子には、こちらが面食らう程だ。

番組の中でも話されていたが、みさお夫人は抜群の〃記憶力〃の持ち主だった。生前、何度か取材をお願いしたことがあるが、生まれ育った杉谷・折橋地区のことに関しては石垣、生垣、木々の一本々々まで鮮明に覚えておられた。

また、他人様とはちょっと変わった名前である小生の長男のこともよく覚えていて下さって、「○○ちゃんは随分と大きくなったでしょう」と、微笑まれていた姿が懐かしい。

そうだ。「ちょっと嬉しいこと」を思い出したぞ!!日曜日に三男から「父の日」のプレゼントをもらったのだ。中身は何の変哲もないトランクス型のパンツが一枚。

いかにも面倒くさそうに渡されたが、心の中で感涙にむせた。デザインが素晴らしい。赤塚不二夫先生の不朽の名作「天才バカボン」なーのだ。

自己弁護なのか、親父への励ましなのか知らないが、股間の部分には「これでいいのだー」のメッセージ。ひょっとして仏教的な〃悟り〃では!?(そんなバカな!!)

所詮、雑文書きのバカ親父である。井の中の蛙である。それでも日々の暮らしの中に、ちょっとした喜びを見つけては、力ない笑いを浮かべながら生を営んでいる。

手厳しいご批判もあるが、この他愛もない本コラムを支持してくださる方もおられるようだ。もう少しだけ続けてみよう。


2008/06/17

いま伊達公子に注目!!…城下町支える普通の人々

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

スポーツは素晴らしい!!月曜日の紙面を見るのが楽しみだ。開く前からワクワクする。16日付紙面にも感動した。女子ゴルフでは、米国から帰ってきた上田桃子が逆転優勝。女子テニスの伊達公子も満面の笑みを浮かべている。

テレビでは、タイガーウッズが全米オープン最終18番ホールで、プレーオフに持ち込むバーディーパットを沈めた。

理屈では言い表せないアスリートの〃哲学〃がそこで語られている。誰かが言っていた、「一流アスリートの体には神が舞い降りている」と。

一週間ほど前、CSで伊達公子とシュテフィグラフの「ドリームマッチ」というのをやっていた。二人とも「一時代」を築いた超一流のプレーヤーである。殊にグラフの場合は、史上最強の世界チャンピオンであった。

ところが、この試合に限って言えば、グラフより伊達の方が、遥かに生き生きと試合を楽しんでいるように見えた。

いったんは現役を退いた後の、最近の伊達の動きに注目している。何より、エクボがくっきりと浮き出る健康的な笑顔がいい。

賢そうにも見える。雰囲気的には大リーガー、イチローとも相通じるものがある。性別を超えて、二人ともステキだ。

世の中の「不条理」や「不合理」に眉をひそめ、「御託」を並べる人も時に必要ではあろうが、余りに続くと「あー、またか…」で片付けられてしまう。それが世間というものだ。

世界を舞台に目覚しい活躍を遂げているアスリートの姿を見るにつけ、「重箱の隅をつつく」かのような議論の在りように、時々嫌気がさしてくる。

体を動かすことは、単純に楽しい。散歩だって馬鹿にならない。少々動いても疲れなくなった。競技ではないから「勝ち負け」も「ルール」もないが、強いて言えば、すれ違う際の挨拶は「マナー」とでも言えよう。

自分の足で歩くと、色んな事(問題)が見えてくる。路傍にはびこる雑草、吸殻、空き缶…。島原城周辺では、自前の袋を持参してせっせとゴミ類を集めている人たちに出会う。

「街づくりはかくあるべし!!」と、声を大にしてマスコミに登場したがる連中とは、対極の動きだ。地味だが、滋味深い。

嘘だと思うなら、いつもより少し早起きして、お城周辺を歩かれるがよい。この人たちが「城下町島原」を支えていることが良くわかる。誤解を恐れずに言えば、この方々は所謂「普通の人たち」だ。

都はるみが「普通のおばさんになりたい」と言って引退したのは1984年。デビュー20年後の人気絶頂の頃だった。

伊達公子37歳。年齢で言うと、引退宣言時の都とほぼ同い年。引退と復帰の違いはあれ、どうやらここら辺りが女性の「ターニングポイント」か。


2008/06/15

見つかった雨情の…森繁さんの〃ちょっといい話〃

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

〈烏(からす)なぜ啼(な)くの 烏は山に 可愛い七つの 子があるからよ…〉。童謡『七つの子』の一節である。作詞をしたのは野口雨情で、作曲は本居長世。大正10年の作だという。

その雨情が島原半島で遺した歌を探していたのが、先般の「ターニングポイント」(9日放送)に出演してくれた、島原市出身の歌手、大澤一恵さんだ。

番組の中でも言っていたが、1つは国見の旧家で見つかった『多比良小唄』。と、放送翌々日に「残る1曲にとうとう巡り合えた」との連絡が大澤さんからあった。

「私は口之津とばかり思い込んでいましたが、目指す作品は加津佐にありました。その名は『加津佐小唄』でした」。電話の声は少々興奮気味だった。

大澤さんの今回の帰郷の目的は、島原半島に眠る古い歌の発掘。すでに島原市では三会の『土搗唄』と出合えており、これで半島三市等しく再リリースされる公算が大きくなった。

この先の展開については、ファンの一人として静かに見守るのみだが、欲を言えば、不景気風を吹き飛ばすような〃パンチ〃の効いた作品に仕上げていただきたいものだ。

ところで「カラス」と言えば、先ごろの本欄で、〃糞害〃で困っていると書かせていただいたら、早速萩原の森岡百三郎さんから陸上競技用の号砲ピストルが贈られてきた。

今更その意図を尋ねるのも無粋である。「そんなに困っているなら、このピストルで追い払え」とのメッセージに違いない。きっとそうだ。

今朝も会社の玄関先には、新たなウンコ跡。頭にきたので、近くのスポーツ店に飛び込み「弾」を求めた。すると「記帳せよ」とのお達し。

一瞬「どうして」と思ったが、冬場に起きたナフコ国見店の強盗事件はまだ解決していない。昨今の社会情勢からして、警察関係者が神経を尖らすのも当然と言えば当然である。

しかし「弾」が手に入った以上、「撃ちたくなる」のも〃人情〃というもの。早速会社に帰って屋上で2発。残念ながら、カラスの姿は見えなかったが、夕方にはきっと…。何せ、まだ百発以上も残っているからな。

ところで、この『七つの子』についてネットで調べていたら、面白い話が幾つか出てきた。1つは「七つ」が頭数なのか、年齢なのかという論争。志村ケンが歌った「カラスの勝手でしょう…」という替え歌の件はさて置くとして、感動したのは森繁久彌さんの話。

ある時、盲学校に慰問に訪れた森繁さんは『七つの子』を歌おうとした際にハッと気付いて、歌詞を変えた、という。

演劇評論家の戸板康ニさんによれば、森繁さんは〈まるい『目』をした…〉という部分を、とっさの判断で『顔』に差し換えたのだ、と。何とも心温まるエピソードではないか。


2008/06/14

流行は社会風潮の鏡…貴方は入れる派、出す派?

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

夏場になってTシャツを着る機会が増えるが、この年齢(50代)になると、意外とこれが難しい。まず、裾の扱いに迷うのである。

主催するスポーツ大会などでブレザーを羽織る時、裾を出した方がよいのか、それともズボンの中に押し込むか、で悩む。

会社の若手に言わせると、Tシャツはダラッと着てこそTシャツであって、その上にベルトが巻かれている様は見苦しい、と。

でも、本当にそうか。ポロシャツでもそうだが、ズボンの中に仕舞ってこそ、周囲にも「きちんとした印象」を与えると思うのだが。

第一、シャツを出していると、短い脚が余計に短く映るではないか。恐る恐る自説を開陳したら、「心配要りません。専務の場合、もうそんなレベルはとっくに通り越してます!!」。

Tシャツはまだいいとして、純然たる下着の場合はどうだろう?昔はランニングと言っていたが、最近では総称してインナーか!?

この問題については何人かに聞いてみたが、極端に見解が分かれて面白かった。パンツの中に〃入れる派〃の言い分はこうだ。

「だらしない感じで、気分がシャキッとしない」「腹回りが何となく落ち着かない」「昔から『フンドシを締め直して』と言うではないか』など。

これに対して〃入れない派〃の主張は「不潔である」という意見に集約される。まあ、どっちでも構わない話だが、小生は〃入れる派〃である。

Tシャツやネクタイに限らず、「流行」の類いはその時々の社会風潮が織りなすもので、似合うと思えば似合うし、おかしいと思えばおかしいのである。

例えば、長袖の上に半袖を着るなど、昔では到底考えられなかったファッションだが、最近の若者がそうした格好をしていても余り気にはならない。

そう言えば、小生が大学生だった頃に、トレーナーを裏返して着ることがオシャレとされた時期があった。なぜそれが流行ったのか未だに疑問だが、事実は事実である。

〃裏返し編〃で言うと、何日も何日も風呂に入らない輩が「パンツを裏返して穿いていた」という話を聞いたことはあるが、さすがにその経験はない。

まあ「世の中全体が変わってしまった」と言えばそれまでだが、最近の若者は少し清潔好き過ぎるのでは。特に男性陣が。

コンビニを覗けば、顔や頭につける化粧品は言うに及ばず、果ては脇の下の臭い消しや脂取り紙まである。おいおい、日本男児がそんな〃軟派〃でどうする。そんな根性で、この厳しい国際競争の社会を勝ち抜ける、とでも考えているのか!!

酒場でオダをあげていたら、勘定書きを持ってきた可愛い娘ちゃんが一言。「オジサン、耳の後から加齢臭が出てるよ!!」。

あっそ、帰りにコンビニ寄ろっと???


2008/06/13

バナナ痩身術に挑戦…すっかり習慣化した散歩

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

散歩を始めて早2か月が経過するが、「痩身効果」で計ると、今のところ「ゼロ」。ただ、歩き始めの時点からすれば、少なくとも増えてはいないので、幾分か「抑止力」は働いているもの、と想える。

最近では同伴者の方がやけに熱心になって〃早朝編〃に加え〃夜バージョン〃まで提案してきた。聞けば、「脳梗塞の類いは大概寝ている時に発生するもの」と、まるでお医者様のような答え。

「へいへい、さいでっか。そらー、よろしゅおますな」と軽口で応じたら、「別に歩きたくなければ構わんけど…」と、突き放しにかかる。「いやいや、そのお心遣い、誠に痛み入ります。ありがとう!!」。

かくして、すべてにおいて〃平和主義者〃の小生の一日は、早朝6時頃からの散歩でスタートするのであります。

コースは定まっておらず、通常はお城周りを早足で3~4周。天気の良い日は、長浜海岸から猛島神社下を通って北門交差点へ抜け、田屋敷通りで仕上げる。所要約1時間。

少し前は、車で総合運動公園まで乗りつけ、1周約600メートルのグラウンドをグルグル。元島原消防署長の本田五郎さんは〃常連〃のようで、歩き方にも何かしら風格が漂っている。

お城にしても、猛島海岸にしても、また運動公園にしても、天候に恵まれた時の「島原の日の出」は最高で、海の向こうから昇ってくる太陽の姿を拝むと自然と頭が下がる。

さて、本県(九州北部地方)も十日から梅雨入りしたとのことだが、すでに習慣化しつつある散歩のペースが狂ってしまいわないか、心配である。

何せ、今となっては、歩かないことには体調が覚束ない。かと言って、傘をさしてまで歩く気はしない。水不足にならない程度の雨量は欲しいが、勝手ながら一日も早い梅雨明けを望む。

ところで、散歩とともに新たに取り組んでいるのが「バナナダイエット」。と言っても、まだ始めて三日目だ。

昼休み時間中に会社のテレビ見た番組の影響だが、これが今のところ、すこぶる合っているような気がする。何だか体調が良い。

そう言えば、プロテニスのプレーヤーが試合の合間にバナナを食しているシーンを何度か見かけたことがある。こちらはプロではないが、ゴルフ場でもしかり、だ。

同番組によれば、バナナは脂肪を燃焼させる成分を含んでいる、とか。真偽のほどはともかくとして、関連本も出ているくらいだから、しばらくは信じて続けてみよう。

余談だが、始まり当日、一本のバナナを慈しむように口に運んでいた小生の姿を憐れむように、母がポツリ。「昔は貴重品だったけど、食べ過ぎて疫痢に罹った人もいるからね」。

疫痢か?久しぶりに聞く伝染病名だなー。


2008/06/12

「あいうべ」で健康体…難病の原因は「口呼吸」にあり

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

久しぶりに歯科医院に行った。何かしら歯全体が浮いたような感じだったからだ。

それに、このところ立て続けに口内炎ができて、なかなか食事を美味しくいただけないでいた。原因はハッキリしていたが、それは言わない。

家人は「普段から、〃歯の浮くような〃ことばかり言ってるから…」とたしなめるが、そんなことはない。本人はいたって真面目である。

いや待て、真面目すぎるのが、かえって良くないのかもしれない。何でも「過ぎたるは猶ほ及ばざるがごとし」である。そう、いいかげんは「(程)よい加減のこと」である。

吉田拓郎の『イメージの詩』にこんな一節がある。〈誰かが言ってたぜ、俺は人間として自然に生きているのさ。自然に生きるってわかるなんて、何て不自然なんだろう〉

小生はこの作品が大好きで、時おり落ち込んでいる時などは、車の中で繰り返し、繰り返しCDを聴いている。すると、不思議と落ち着く。

本を読むのもいい。たまたま送ってきた『致知』(7月号)のページをめくっていたら、「口の体操『あいうべ』で免疫力を高めよう」とあった。

最初、何のことかと訝っていたら、れっきとした現役の医師が「口呼吸の弊害」を指摘している。執筆者は福岡市内で「みらいクリニック」を開設している今井一彰という先生だ。

プロフィールを見ると、昭和45年生まれというから、まだかなり若い。月並みな表現だが、同誌に紹介されるくらいだから、将来を嘱望される気鋭の東洋医学者だと言えよう。

氏が推奨する健康法は、口を「あー」と大きく開いて、「いー」と大きく横に広げ、「うー」と前に突き出し、最後は「べー」と舌を伸ばす。ただそれだけである。

この単純な「あいうべ」の口体操を繰り返すことで、現代の医学ではなかなか治りにくいとされている「関節リウマチ」や「膠原病」「気管支喘息」「アトピー性皮膚炎」などの治療に大きな効果を挙げているというから、驚きだ。

学説の根拠となっているのは「自律神経」(交感神経、副交感神経)の動き。氏は「この自律神経の働きが、病気に対する免疫力を高めたり、低めたりしている」と説く。

専門的な話は省くとして、主として昼間に働く「交感神経」が過度に優位になると、口の中は渇いた(唾液の分泌が少ない)状態になり、ストレスがかかってしまう、という。

それを防ぐのが、前述の「あいうべ」体操。これを1日あたり30回程度繰り返すことで、健康な体が取り戻せる、という。

まあ、金のかかる話でもないので、騙されたと思ってやってみましょう。でも、くれぐれも間違わないように。決して「あかんべー」ではないですよ!!


2008/06/11

どなたか心当たりは?…雨情が遺した口之津の歌

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

〈近頃は 大人が隠れて たばこ吸う〉〈方丈記 判る頃には 介護四〉 - 。たまたま出張先で立ち寄った書店で、俳優の小沢昭一さんが新潮社から出している新書本に目がとまった。

本のタイトルは『川柳うきよ大学』。冒頭の二句は、帯の表紙に印刷されているもので、思わずニンマリしてしまった。

裏を見ると、こうあった-。〈メール打つ その指で揉め 母の肩〉〈広告で 毎日ガンが 治ってる〉〈立ち上がる 何で立ったか 考える〉〈三連休 パパを覚えた 赤ん坊〉〈百歳は 何をやっても 健康法〉

いずれも甲乙つけ難い〃風刺〃と言うか、〃切れ味〃であるが、本物のナイフで刺したり、切りつけたりすることは、全くもって論外である。

しかしながら、現実問題、何の罪もない一般の人々をサバイバルナイフで無差別に殺傷するという、悲惨極まりない事件が起きてしまった。

詳しい事件の経過や犯行動機については、すでに他メディアで検証が進んでいるようなので端折るとしても、日中堂々とこのような凶行がまかり通るようであれば、日本の治安も決して〃世界一〃とは言い切れないのではないか。

事件そのものもさることながら、余計に寒々としたものを感じたのは、携帯電話のメールの掲示板に幾度も〃犯行予告〃がなされていた点だ。本当に背筋が凍る思いだ。

当社は〃ビジネス〃として、インターネットの仲介事業(プロバイダ業務)を行っているので、なおさらである。

加えて、事件現場に近い秋葉原駅前には、主要取引先が入っているビルがあり、小生も何度かその周辺を歩いた覚えがある。何はともあれ、犠牲者のご冥福を祈るばかりだ。

その東京から昨日(9日)、歌手のキャッシー大澤さんがやって来た。本名は大澤一恵さんと言い、島原市は広馬場の出身だ。

すぐに小生が担当している『ターニングポイント』というスタジオ番組のゲストとしてお迎えしたのだが、実に歯切れの良いトークを披露してくれた。

幼い頃からの歌手になりたいという「夢」。しかし、なかなかその思いを両親に打ち明けられなかったという「苦悶の日々」…。話を聞いていて、「志の確かさ」を感じ取られた人も多かったのでは、と想う。

殊に印象に残ったのは - 「外国と日本の歌が私の中に並立してある。それが、年齢を重ねるにつれて、日本語の歌詞で歌いたいという気持ちになった」という独白にも似た台詞。

言い換えるなら、日本人(島原半島人)としての「アイデンティティ」が、ここに来て頭をもたげてきた、ということだろう。

大澤さんはいま、野口雨情が口之津方面で作詞した歌を探している、という。心当たりのある方は、ぜひ当社宛、情報をお寄せ下さい。


2008/06/05

市原教授の講演から…ビッグな雛祭りはどうか

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

過日、元長崎総科大教授で、現在は山梨県立大学国際政策学部の教授となっている市原実(いちはら・みのる)さんの講演を聴いた。宅栄会主催。

1942年、千葉県生まれだが、大の〃長崎ファン〃。長崎新聞の随筆欄『うず潮』でも健筆をふるっている方だ。本日は、その中から特に印象に残った言葉を交えながら、稿を進めていきたい。

【役所は頼る先ではなく、お墨付きをしてくれる機関】=ともすれば、何でもかんでも行政体に依存してしまいがちな「街づくり」のあり方に、疑問を呈したもの。

市原さんは、山梨県韮崎市で進められている「味噌汁の会」の活動事例を紹介。余り肩肘張らずに、「失敗して元々…」というくらいの軽い気持ちで始めたら良い、と説く。

その際に大切なのは〃素人〃感覚。商売人にはない消費者の発想で、市の中心部に店を構えると、意外とうまくいく。蛇足だが、山梨県の県庁所在地である甲府市も中心街はガラガラの状態だという。

【出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない】=何事も〃中途半端〃は駄目だ、との喩え。ある友人にその言葉を送ったら、「出すぎた杭は引っこ抜かれますよ」と逆襲された。さーて、どちらが真実か?

【成果は小さく、喜びは大きく】=事業経営や街づくりに限らず、物事全般に通じる、ある種の智慧(恵)の一つだろう。

ともすれば人間は、欲をかき過ぎる余りに、本来の自分を見失ってしまう。小さな成功体験(達成感)が、後に大きく花開くことは多いものだ。

【ありのままを見せる。古い方が良い】=最近にわかに注目を集め始めてきた「グリーンツーリズム」を迎える地元(農家)の処し方について。

これからの観光地は「観る」だけでは、客は満足しない。何らかの「勉学の場」の提供が求められる。

田舎暮しの安らぎに都会人は憧れている。逆に言うと、都会の人々の心は、それほど病んでいる。

【儲けだけでは人は目を向けない】=これまた当たり前のようだが、いざ実践となると、なかなかに難しいのが現実だろう。

ただし、成功している街づくりなどの事例では、「儲けることは後から…」といったスタンスで取り組んでいる所が多い。

【ビッグな雛祭りの提案】=「葉っぱビジネス」ですっかり有名になった徳島県上勝町。隣接する勝浦町での取り組みを紹介。

空き家状態の農協の倉庫に5千~6千体の雛人形を集めて飾ったところ、1か月の間に10万人の観光客が押し寄せた。

その余波が千葉県勝浦市、三重県伊勢市などに伝播。すでに雛人形の「里子制度」が完成して交流が盛んになっている。島原半島でも手を挙げてみてはどうか?


2008/06/04

ご指摘、ごもっとも!!…井の中の蛙でも大空は望める

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

6月3日である。あの「大火砕流惨事」から早17年か…。随分と島原の街も変わってしまった。そして人間も。

17年前と画然と異なるのは、インターネット(NET)の普及だろう。もし、あの当時に、現在のようにNETが幅広く使われていたなら、報道のあり方も違ったはず。

何はともあれ、犠牲となられた44柱のご冥福を心より祈る。

さて、5月31日付の本欄について、手厳しいご批判の投稿をいただいた。「番組を見てもいないのに論じるな」とのご指摘は、ごもっとも。税金の無駄遣いを諌めるご意見も、確かに傾聴に値するものだ。

ただ、遅ればせながら録画DVDを見せていただいたが、その内容は予想通りの論調に終始していた。これなら、まだ見ない方がましだった。

投稿の主は、「災害から復興へかけての一部始終を見てきた」とされ、その眼力に些かの自負をお持ちのようだが、自信過剰の感は否めない。

匿名でありながら、すぐに名前が浮かんでくるような書き方はご愛嬌だが、ステレオタイプの行政批判はもう止めませんか。

よくよく17年前を思い出していただきたい。未曾有の長期大規模災害の中で、地域はまさに「危急存亡」の状態であった。

そこから「特別立法」や「災害対策基金」といった提案がなされ、物心両面にわたる全国からの温かい励ましを背に、国や政党相手に「請願活動」を繰り返したことを。

結果として生まれたのが「がまだす計画」であり、これを基軸として、多くの復旧・復興事業がスタートした。

それを後から傍目に見て、賢しげに批判するのはいかがなものか。各種施設は、きちんと手順を踏んだ地元からの要望に対して、国が理解を示してくれた成果ではないか。大切なのは、いかに有効利用するか、だ。

テレ朝系のワイドショーの作り方は、災害当時の報道と何ら変わっていない。まず「税の無駄遣い」という枠があって、その中に、ひたすら現在の事象を当てはめていく。

あの番組を見た視聴者は、島原という街をどう思うだろう。我々は単なる「税金食い」なのか。違うだろう。もういい加減自虐的な目で「古里」を眺めるのは止めにしよう。

しかも、わざわざ「島原病」なる名前を付けて、一体誰が得するの?病は気からでしょう。もっと元気を出して、現実をしっかりと受け止め、一緒になって地域の発展に汗を流しましょうや。

今回の投書を受け、小生も反省すべきは反省して、襟を正してまいります。ご指摘の段、誠に有難うございました。

最後にひと言だけ言わせて下さい。井の中の蛙にだって、大空を眺めることはできます!!


2008/06/03

どうする「水」と「高齢化」…避けては通れない重要課題

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

昨夜、とても気になる内容のテレビ報道番組を2本見た。1つはTBS系で6時半から流れた『夢の扉』。もう1本は、フジテレビ系10時台の『プレミアA』だ。

前者については、かれこれ1年ほど前に特集された、「水の浄化実験」に取り組んでいる、群馬高専特任教授、小島昭さんの活動歴を再び取り上げていた。

前回、同番組を見た時はいたく感動し、本欄でも早速取り上げ、「島原市も〃水都〃を標榜するなら、関係者には是非同教授にコンタクトをとっていただきたい」旨の提案を行った。

ところが、案の定、反応は梨の礫(つぶて)。すでに各種団体とも連携して、「EM菌で一定効果をあげているので」といったところだろうが、果たして本当のところは!?

小島教授が着目しているのは「炭素ファイバ」の不思議力。これを短冊状にしたものを、汚染状態の湖沼や河川に一定期間浸けて、その推移を見守る。

同番組の報道が真実ならば、これはもう〃大発見〃である。静岡県猪鼻湖では沈めた炭素ファイバにヘドロやホヤ貝が列をなして付着していたし、中国・蘇州での実証実験には現地の人々も手放しで拍手を送っていた。

同教授は「2020年までに世界中の水を綺麗にしたい」と夢を語っていたが、日本国内でもその手法を取り入れた地域がすでに約200か所。有明海、白土湖、各種河川…。長崎県、島原市にとっても、今後の環境行政を占う〃潮目〃や〃分水嶺〃に差し掛かってきているのでは…。

一方、フジテレビの番組では、完成から36年が経過した東京板橋区の「高島平団地のいま」を取り上げていた。サブタイトルは「老いゆく街」。

同団地は札幌オリンピックが開催された昭和47年に竣工。庶民にとっては高層住宅がまだ高根の花だった時代で、入居希望者は後を立たず、何と初回の抽選倍率は200倍の〃超難関〃だった、という。

番組では、急速に進んだ居住者の老齢化に伴う、諸問題を取り上げていた。脚が不自由なのに、週に1度しか実の娘が訪ねてこない男性。会話を交わすために250円の地域通貨を使う老婆。ともに80代の独居老人だった。

7つあった小学校のうち2校は、児童数の減少で廃校。団地内の新聞は「ついに65歳以上の〃老齢化率〃が30%を超えた」と報じていた。

島原市企画課がある調査機関に依頼したデータによれば、島原市も10年を待たずしてそのラインを突破する。いわゆる、税収で地域財政が賄えなくなる「限界集落」に陥ってしまう、というわけだ。同様のことは、隣接する自治体についても言える。

週の初めから暗い話になって恐縮だが、いずれも避けては通れない重要な課題である。読者の皆様も、一緒になって知恵を絞ってまいりましょう。


2008/06/01

記念日から世を眺める…今日は「世界禁煙デー」だと

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

本稿執筆時点ではまだ5月31日だが、掲載日付は6月1日。夕&朝刊兼用、島原新聞の特徴の一つで、最初に目にする人はまず面食らう。

さて「今日」、つまり6月1日は「気象記念日」、「写真の日」、そして「人権擁護委員の日」とある。

ものの本によれば、1875年のこの日に、気象庁の前身である東京気象台が設置され、地震観測と日に三度の気象観測が始まった、という。

次に「写真の日」。東洋日の出新聞に掲載された「オランダ人による長崎での島津斉彬公の撮影日」(1841年)が起源とされているが、後にこの記事は間違いであることが判明。しかし、そのまま記念日とされている、とか。

「人権擁護 - 」はぐっと時代が下がって、太平洋戦争後の1949年ということだ。

写真で思い出したが、昨日(5月30日)、久しぶりに有明町大三東の「西川写真館」を訪ねた。運良く、館主の成子さんが居てくれて、美味しいお茶をご馳走になった。

聞けば、今日(6月1日)から新しいスタジオが一部オープンする、という。意図したかどうか知らないが、「写真の日」に合わせるあたりは流石(さすが)。ピントぴったし、西川さん!!

今でこそデジカメの爆発的な普及で、誰でも簡単に写真が撮れるようになった。しかし、一昔前までは、ピントはもちろんのこと、絞りやシャッタースピード等の細かな「技術」が求められたものだ。

小生は元々不器用な性質で、新聞記者になるまではさほどカメラをいじったことはなかった。ただし、失くすことに関しては天才肌で、一回の欧州ツアーで計3台も紛失した苦い思い出がある。

その悪い癖は新聞記者になってからもいかんなく発揮され、噴火災害当時、「島原生き残りと復興対策協議会」の東京での活動記録を収めたカメラを、羽田空港のカウンターに置き忘れてきてしまった。

間もなく一周忌を迎える前島原市議の内田憲一郎さん(西八幡町)から、盛んにからかわれたことも懐かしい思い出だ。

ところで、今日(この原稿を書いている5月31日)は、「世界禁煙デー」ということだ。1989年にWHO(世界保健機関)が制定した、と。

残念ながら、まだ禁煙ができないでいる。特に本欄を担当するようになって、ますます煙草好きが高じてきているようだ。

ただし、車の中ではまったく吸わなくなった。それだけでも1日あたりの喫煙本数はかなり違う。総数で言えば、半減したことは間違いない。

誰に言われるまでもなく、健康に悪いことはよくわかっている。だが、健康は肉体面ばかりでない。精神上の健康も大事だ。あー、やっと1本書き終えた。一服が美味しい!!